旅するストライカーAK-47ことアブバカル・カマラ――自由と挑戦を貫くサッカー人生
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Aboubakar Kamara――旅するストライカー「AK-47」の生き様とサッカーへの向き合い方
サッカーの世界は一握りのスタープレイヤーだけでなく、多様な個性や人生が交差する場所です。その中でも異彩を放つのが、現在タイ・カンチャナブリーFCで活躍するアブバカル・カマラ。通称「AK-47」というニックネームをもつ彼は、30歳にして7カ国目の挑戦中。本コラムでは、彼の独特なキャリアと、彼が語ったリアルな心情、そしてそこから私たちが学べる「サッカーの多様性」と「自分らしく生きることの大切さ」にスポットをあてます。
自由への渇望が原動力――「旅人でありたい」
カマラは自らを「小さなグローブトロッター」と表現します。
「Je suis un petit globe-trotter. (Rires.)」
「僕はちょっとした世界を旅する人さ(笑)」
彼にとって「新しい土地に行く」「知らない世界を知る」というのは、十代の陸上競技時代から続く根源的な欲求でした。フットボール選手としても、国やリーグを自在に移動しながら、その土地の空気を吸い、多くの異なる文化や人々の中に身を置いてきました。
それは、キャリアアップや目立つためだけでなく、「自由の空気」「日常からの脱却」に自分の幸せを見いだす生き方そのもの。好きなことを続けながら、縛られない自分でいること――スポーツを愛する全ての人に通じる原点的なメッセージではないでしょうか。
| クラブ・時代 | 国・リーグ | 主な経験・エピソード | 評価 |
|---|---|---|---|
| ASモナコ | フランス・リーグ1 | キャリア初期の基盤形成 | ◎ 原点 |
| フラム | イングランド・プレミア | ミトロヴィッチとのトレーニング激闘、クレイヴン・コテージへの愛着 | ◎ 思い出深い |
| アル・アラビ | カタール | 中東文化への適応、新環境での挑戦 | ○ 経験拡充 |
| セパハンSC(イラン) | イラン・リーグ | 政情不安・生活困難という厳しい環境 | △ 苦境 |
| オリンピアコス | ギリシャ・スーパーリーグ | 欧州復帰、コンペティションの高さ | ○ 再挑戦 |
| カンチャナブリーFC(現在) | タイ・リーグ | 「サッカーだけに集中できる」最高の環境と自己評価 | ◎ 充実 |
「フットボールが好き」より「勝負が好き」
意外なことに、カマラはサッカー一筋の少年ではありませんでした。むしろ「自分は決してサッカー狂ではない」といいつつ、競争心――「負けたくない」という思いだけが彼にサッカーを選ばせたのです。
「Je n’ai jamais été un grand passionné de foot. J’ai toujours adoré jouer mais pas plus. C’est mon côté compétiteur qui m’a fait accrocher.」
「僕はサッカーそのものが大好きというタイプではない。やるのは好きだったけど、それ以上でもなかった。僕にサッカーを選ばせたのは競争心だった。」
日本の部活動や育成年代でも「好きだけでうまくなる人」「負けず嫌いで成長する人」がいますが、人それぞれの原動力で一流にまで昇っていくのがスポーツの懐の深さです。皆さんは、何が自分を動かしていますか?
- 競争心を原動力として認める — 「サッカーが好き」より「負けたくない」という動機で成長する選手がいる。その原動力を否定せず、競争環境を設計する。
- 生活・メンタル環境がパフォーマンスに直結すると理解する — カマラが「サッカーだけに集中できる」と語ったタイ環境のように、選手が安心できる環境を整えることが最大のパフォーマンス投資となる。
- 多様な経歴・バックグラウンドを持つ選手を個人として理解する — 「寄り道」や「多国籍経験」は弱点ではなく多様な視点をチームに持ち込む強みとして活用する。
人のいるところにエピソードあり――クラブ遍歴と思い出の仲間達
カマラの所属クラブは、ASモナコ、フラム、アル・アラビ、ディジョン、アルタエス、オリンピアコス、セパハンSC(イラン)、そして現在のカンチャナブリーFCまで多岐に渡ります。その中でも、思い出深いエピソードが満載です。
たとえばフラム時代。チームメイトのミトロヴィッチとは「judo(柔道)」ばりのガチ勝負を繰り広げ、スタジアムでの“ペナルティ騒動”にも心が折れず仲間と乗り越えていきます。
「À l’entraînement, c’était la guerre.」
「トレーニングでは本当に戦争だった」
仲間とともに本気でぶつかり、一つ一つの出来事がキャリアや人間関係を作っていく。その姿は、部活動からプロまで、全ての「チーム」でスポーツをする人に共感を呼ぶはずです。
また、フルアムの聖地クレイヴン・コテージについても、「J’ai trop kiffé mon Craven Cottage.」(クレイヴン・コテージは最高に好きだった)と振り返り、「最高峰の舞台」「熱狂的なファン」へのリスペクトが感じられます。
- サッカーが「好き」でなくても続けていい — カマラ自身「サッカー狂ではない」と語る。好きより「負けたくない」「挑戦したい」という気持ちが十分な原動力になる。
- 環境を変える勇気を持つ — 合わない環境に留まり続けるより、新天地に飛び込む判断が成長を加速させることもある。カマラの7カ国経験がその証明だ。
- 失敗を振り返らず「切り替え」を磨く — 「絶対に後ろを振り返らない」と語るカマラの切り替えの速さは、試合でも人生でも実践できるメンタルスキルである。
異文化との出会い、タイでの新たな暮らし
イラン時代は「戦争や自由の制限」で厳しい経験もしました。
「Là-bas, le contexte est un peu tendu, c’était la galère.」
「イランでは状況がちょっと緊迫していて、大変だった」
だからこそ、タイでののびやかな生活を高く評価します。カンチャナブリーFCでは、自分らしくリラックスしてプレーできているといいます。
「Je me sens bien, je n’ai à penser qu’au foot, les gens sont respectueux, c’est le top.」
「ここでは本当に気分が良い。サッカーだけに集中できるし、人々はリスペクトがあって最高だ」
どんなレベルでも、プレイヤーのメンタルや生活環境がパフォーマンスに直結する――これは応援するファンとしても一番大事にしたい視点ですよね。
「AK-47」伝説と、名だたるスターたちとの思い出
彼といえば、背番号「47」に因んだ通称「AK-47」。このニックネームの裏には親友同士のささやかな遊び心、「ちょっとクレイジーな自分を形にしたかった」という自分らしさが詰まっています。
また、サッカーを通じて関わった名手たち――バルセロナやレアルで鳴らしたマルセロ、冷静で技巧派のベリバトフ、そしてルーク・ショーやネマニャ・マティッチらイングランドのトップ選手との対戦談。「Kevin De Bruyne, c’était dingue」(デ・ブライネはとてつもなかった)という言葉にも、サッカー界を舞台にした一期一会のすごみが現れています。
「後悔しない」――人生もサッカーも一度きり
カマラはこう言い切ります。
「Non. J’ai le switch très facile, je ne regarde jamais en arrière.」
「いいや、全然後悔はない。僕は切り替えが早いから、絶対に後ろを振り返らない」
これだけ転職・転部・海外挑戦を繰り返せる強さも、過去を悔やまず「次」を選び続けられるからこそ。後悔より前進――成功も失敗も糧にします。
「サッカー人生は一度きり。今を全力で生きる」。彼の言葉と行動は、小学生から大人まで、部活でも社会でも「迷ったとき」「つまずいたとき」に立ち返れる、普遍的なメッセージではないでしょうか。
「サッカーがすべてではない」カマラの人生観
将来は「子どもたちをサポートする役割にも興味がある」と語るカマラ。サッカーに全てを捧げなくてもいい、人生には色々な選択肢がある――そんな柔軟な考え方に、多くの人が救われるかもしれません。
「Je vis un peu au jour le jour. J’aime bien les enfants, j’aimerais par exemple aider les jeunes footballeurs, les aiguiller, être une sorte de tuteur pour qu’ils évitent de tomber dans les pièges dans lesquels je suis tombé.」
「僕は日々の中で生きている。子どもたちと接するのも好きだし、自分の経験を活かして若いサッカー選手たちが同じ失敗をしないよう導く役割もやりたい」
引退後も「次」がある――これはきっと、サッカーだけでなく、人生すべてに通じる考えですね。
あなたは今、どこを旅していますか?
カマラのキャリアから見えてくるのは、「たとえ王道じゃなくてもいい」「迷いも寄り道も原動力になる」――ということ。サッカーも人生も、答えは一つではありません。AK-47の旅路を見て、皆さんは自分自身の「今の居場所」「これからの道」に何を思いますか?
最後に、彼のこれまでの挑戦と人生観を象徴するような言葉でコラムを締めたいと思います。
「Le bonheur n’est pas au bout du chemin, il est le chemin lui-même.(幸せは道の先にあるのではなく、歩くその道そのものだ)」
今日もまた、新たな一歩を踏み出してみましょう。
