クローゼ体制のニュルンベルクがエルヴァースベルク戦で3-2の逆転勝利を収めた試合のハイライト場面

別人のように生まれ変わった1.FCニュルンベルク──クローゼ体制が示した「攻撃的勇気」と新たな一歩

DEFINITION
クローゼ体制のニュルンベルクとは
クローゼ監督就任後の1.FCニュルンベルクは、守備時4-3-3・攻撃時4-ダイヤモンド-2の可変フォーメーションと前線からの積極的プレスを軸に「攻撃的勇気」を体現するチームに生まれ変わった。エルヴァースベルク戦の3-2逆転勝利はその象徴であり、失点しても崩れず攻め続けるメンタリティが最大の変化である。

「別人のような1.FCニュルンベルク」エルヴァースベルク戦が教えてくれたもの

2026年最初の公式戦。 1.FCニュルンベルクが本拠地マックス=モーロック・シュタディオンで迎えた相手は、2部リーグで勢いに乗る2位のエルヴァースベルクでした。 結果は、劇的な3−2の逆転勝利。 しかし、この試合が特別だった理由は、スコア以上に「内容」にありました。

ミロスラフ・クローゼ監督のもとで冬を越えたチームは、まるで別のクラブになったかのような変化を見せました。 その変化を、戦術と個人、そして「マインド」の3つの視点から振り返りながら、一緒にサッカーを学んでいきましょう。

クローゼが描いた新しいFCNの「かたち」

4-3-3と4-ダイヤモンド-2、そして4-2-2-2──変化する布陣

この試合のニュルンベルクは、守備と攻撃で明確に顔が違いました。 守備時は4-3-3をベースに、中盤のスペースをしっかり閉じるコンパクトなブロックを形成します。

前線の3枚は、あえて相手を外側に追い込むようにプレスをかけました。 中央を閉じ、パスコースをサイドへ誘導し、そこを「合図」に一気に囲い込む。 とても整理された守備でした。

相手ゴールキックの場面では、マンマーク気味に前線からぴったりつき、 相手に簡単にビルドアップさせない勇気ある守備も見られました。

一方で、ボールを持ったときのニュルンベルクは、 4-ダイヤモンド-2(4-3-1-2)のような形を見せたり、場面によっては4-2-2-2にも変化しました。 センターバック2枚に、時おりティム・ドレクスラーが降りて「3バック化」することで、 エルヴァースベルクの前線プレスを空振りさせる工夫も見られました。

こうした「形の変化」は、ただの戦術遊びではありません。 ボールを持つ選手に複数のパスコースを与え、プレッシャーを受けてもミスを減らすための仕組みです。 その中心にいたのが、アダム・マルヒエフとフィン・オーレ・ベッカーでした。

COMPARISON / クローゼ体制前後の1.FCニュルンベルク比較
観点 クローゼ体制前 クローゼ体制後 評価
フォーメーション 固定的な一形態 守備4-3-3・攻撃4-1-2-2など可変 ◎ 進化
プレッシング 受け身・低ブロック 前線からマンマーク気味の積極守備 ◎ 進化
ビルドアップ シンプルな縦一辺倒 CB+ドレクスラー3バック化で相手プレス回避 ○ 改善
失点後の反応 自信を失い後退ぎみ 失点後も攻める姿勢を維持 ◎ 進化
クロス対応 ゴール前の寄せが甘い 依然として課題が残存 △ 未解決
攻撃の幅 限定的なパターン スコーベル&ゾマの縦の速さで多様化 ○ 改善
◎ 明確な改善 ○ 部分的改善 △ 課題残存。エルヴァースベルク戦(2026年1月)のデータに基づく。

マルヒエフとベッカーが見せた「プレッシャー下の技術」

この試合のニュルンベルクは、相手に寄せられても慌てませんでした。 特に目を引いたのが、アダム・マルヒエフとフィン・オーレ・ベッカーの落ち着きです。

彼らは相手のプレッシャーを受けながらも、 ワンタッチ、ツータッチでテンポよく味方にボールをつなげました。 体の向きをうまく使い、相手を一方向に誘導しながら逆を突く。 子どもたちにも、ぜひお手本にしてほしいプレーです。

難しい場面で無理に細かいパスを続けない判断も光りました。 ときには、前線のピート・スコーベルに向けてロングボールを蹴り出す。 これも立派な「解決策」です。

スコーベル&ゾマ──新たな攻撃の軸

FOR COACHES / FOR COACHES
可変フォーメーションで相手のプレスを空振りさせよう
  1. ビルドアップ時に3バック化を活用する — センターバック2枚に中盤選手1枚を降ろし、相手前線のプレスを引き出してライン間にスペースを作る配置を練習で繰り返す。
  2. 失点後のミーティングより「次の動き」の確認を優先する — 失点直後のキックオフ前に全員が攻める体勢に入れるよう、リセットの言葉(合図)を事前にチームで決めておく。
  3. 前線からの誘導プレスをゾーンで設計する — 相手を外側へ誘導してから中盤がスイッチを入れる「トラップ守備」をグリッド練習で落とし込み、タイミングをチーム全員で共有する。
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スコーベルの空中戦と「起点としての仕事」

この日、病気で欠場したアドリアーノ・グリマルディに代わって、 2部でのスタメンデビューを飾ったのがピート・スコーベルでした。

彼は前線で何度もロングボールのターゲットとなり、多くの空中戦に勝利。 そのボールを後方や横の選手に落とすことで、チームはセカンドボールを拾い、 そこから一気に攻撃を加速させました。

試合終盤、3−2をもたらした決勝点も、スコーベル自身の「決定力」が光った場面でした。 左サイドからのクロスに対し、力強く、かつコースを突いたヘディングシュート。 若いストライカーの堂々たる「ダブル」でした。

FOR PLAYERS & PARENTS / FOR PLAYERS & PARENTS
「失点しても折れない」がチームを変える
  1. 試合中にネガティブにならない習慣をつける — 失点した直後こそ声を出して仲間を鼓舞する練習を意識する。クローゼ体制後のニュルンベルクは同点にされても攻め続けたから逆転できた。
  2. 体の向きでパスコースを増やす技術を学ぶ — プレッシャーを受けても慌てないマルヒエフとベッカーのように、受ける前に必ず相手の位置を確認し、複数のパス先を想定してからボールを受ける。
  3. ストライカーは「起点の仕事」がゴールと同じくらい重要 — スコーベルのようにロングボールをポストプレーで落とし、セカンドボールを味方に拾わせることが現代ストライカーの大切な役割の一つ。

モハメド・アリ・ゾマのスピードと「背後への意識」

スコーベルと並んで相手守備陣を苦しめたのが、モハメド・アリ・ゾマです。 彼は相手ディフェンスラインの裏へ抜け出すタイミングが素晴らしく、 スコーベルの落としやロングボールから、何度も決定的な場面を作り出しました。

ニュルンベルクの攻撃が「縦に速く」なった背景には、 ゾマのスピードと深さを狙う意識があります。 ゴールこそ生まれませんでしたが、エルヴァースベルク守備陣にとっては 試合を通して脅威となったはずです。

前線の2人が高い位置を取り、相手ディフェンスを後ろ向きにさせることで、 中盤の選手たちは前を向いてプレーしやすくなります。 これが、この試合でニュルンベルクの攻撃が活性化した大きな理由でした。

ベルカイ・ユルマズ──攻守をつなぐ左サイドのダイナモ

高いポジショニングがもたらした「推進力」

この試合で、最も印象的だった選手のひとりがベルカイ・ユルマズです。 彼は左サイドで何度も高い位置を取り、ときには最前線と同じラインに立つこともありました。

その結果、相手の右サイドは常に数的不利ぎみになり、ニュルンベルクは左サイドで優位を作ることに成功。 ラファエル・ルバッハとのコンビネーションでサイドを崩し、クロスやカットインの形を繰り返し作りました。

後半の同点ゴールも、ユルマズのボール奪取と運び出しから始まっています。 相手のミスを見逃さず素早く反応し、前へドリブル。 タイミングよくジュリアン・ユストファンへパスを通し、 彼が冷静なフィニッシュでネットを揺らしました。

一方で、終盤にはペナルティエリア内で不運な形のファウルを取られ、PKを献上してしまいます。 「ヒーローにもなれば、ピンチの当事者にもなる」。 サッカーの厳しさを象徴するような場面でしたが、 GKヤン・ライヒャルトがこのPKをストップし、チームを救いました。

攻撃は別人、守備はまだ課題──2つの失点に見えた「永遠のテーマ」

ゴール前の守備──「クロス対応」と「ボックス守備」

この試合を通じて、ニュルンベルクは攻撃面では大きな進歩を示しました。 しかし、課題が完全に解消されたわけではありません。 それが、2つの失点シーンに表れていました。

前半39分。 ラファエル・ルバッハの不運なトラップミスからボールを失い、エルヴァースベルクに素早くカウンターを受けます。 最後はクロスに対してペナルティエリア内のマークが曖昧になり、 ファイブメートルエリア付近でツィンマシートにフリーで押し込まれてしまいました。

後半の2失点目も、どこか既視感のある形でした。 自陣右サイド(相手の左)を突破され、 ゴール前への折り返しに対して対応しきれず、再び中央の選手に決められてしまいます。 いずれも「クロスへの対応」「ゴール前の寄せの甘さ」という、 今季を通じて見られた弱点が顔を出した場面でした。

クローゼ監督がどれだけ攻撃に新しいアイデアを持ち込んでも、 最終局面での守備の甘さは、一朝一夕では改善しきれません。 だからこそ、ここからのトレーニングでどう修正していくかが重要になります。

それでも前を向ける理由

では、この2失点はすべてを台無しにしてしまったのでしょうか。 そうとは言えません。

重要なのは、「失点しても崩れなかった」ことです。 かつてのニュルンベルクであれば、 リードされると自信を失い、プレーが後ろ向きになる時間帯もありました。 しかし、この試合では違いました。

同点に追いつかれても、再びリードを許しても、チームは攻める姿勢をやめませんでした。 ルバッハのポスト直撃のシュート、スコーベルのゴール、 そして終了間際の決勝弾と、攻撃のアイデアと迫力は最後まで失われませんでした。

「守備の課題はある。でも、それを上回るだけの攻撃的な勇気があった」。 それが、この試合をポジティブに語れる最大の理由です。

「新しいFCN」を支えるメンタリティと、次への一歩

走り続けた90分──SVE監督の言葉に表れた評価

エルヴァースベルクの指揮官ヴィンツェント・ワーグナーは、試合後にこう語りました。 「Dass Nürnberg in der ersten Halbzeit extrem viel investiert hat.」 ──「ニュルンベルクは前半、本当に多くを投資してきた。」

ここでいう「investiert(投資した)」とは、 走ること、戦うこと、リスクを取ること、そしてゴールへ向かう意志を示したことを指しています。 ただ守ってカウンターを待つのではなく、自分たちから試合を動かしにいく姿勢。 そこに、冬を越えて変わったニュルンベルクのメンタリティが表れていました。

FAQ / よくある質問
Q. クローゼ監督のサッカースタイルはどんな特徴がありますか?
A. ミロスラフ・クローゼ監督は守備時に4-3-3でコンパクトなブロックを作り、前線が外側へ誘導するプレスをかける組織的守備を採用。攻撃時は4-ダイヤモンド-2や4-2-2-2へ可変し、CBが3バック化するビルドアップ構造でプレスを回避します。「攻撃的勇気」を前面に出したアクティブなスタイルが特徴です。
Q. 1.FCニュルンベルクはエルヴァースベルク戦でどう逆転しましたか?
A. 前半0-1で折り返した後、後半にユルマズのボール奪取からユストファンが同点弾。しかしPKで再びリードを許した際もGKライヒャルトがストップし、最終的に93分にスコーベルのヘディングで3-2の逆転勝利を収めました。失点後も攻め続けるメンタリティが逆転を生みました。
Q. ベルカイ・ユルマズはどんな選手ですか?
A. 左サイドバックながら最前線と同じラインまで高い位置を取るダイナモ型の選手。攻撃では右サイドに数的不利を作り出し、ルバッハとコンビを組んでクロスやカットインの形を量産。後半の同点ゴールもユルマズのボール奪取と運び出しから生まれました。ただし終盤にPKを献上する場面もあり、攻守にわたって試合を動かした存在です。
Q. 1.FCニュルンベルクの守備の課題は何ですか?
A. エルヴァースベルク戦で2失点した場面はいずれも「クロスへの対応」と「ゴール前の寄せの甘さ」が原因でした。ラインの背後でマークがずれる、折り返しに対して中央の選手へのアプローチが遅れるという課題は今シーズンを通じて繰り返されており、クローゼ監督が攻撃面に新風を吹き込む中でも守備の最終局面の整備が今後の鍵となります。

「内容に見合った」勝利と、次のダルムシュタット戦へ

最後の最後にスコーベルのヘディングが決まり、3−2での勝利。 試合全体を見れば、この結果は決して偶然ではありませんでした。 ショット数、チャンスの質、主導権の握り方。 どれを取っても、ニュルンベルクの勝利は「妥当」と言える内容でした。

もちろん、課題は残っています。 ボックス内での守備、クロス対応、集中力の持続。 ただ、それでもこの試合のニュルンベルクには、 「次も観たくなるサッカー」がありました。

次節はアウェイでのダルムシュタット戦。 難しい相手であることは間違いありません。 それでも、このエルヴァースベルク戦で見せたような 勇気あるプレーと攻撃のバリエーションがあれば、 新しい一歩を踏み出し続けることができるはずです。

私たちファンは、どんなサッカーを自分のクラブに望むのでしょうか。 結果だけを求めるのか。 それとも、チャレンジし続ける姿勢に心を動かされるのか。 この試合の1.FCニュルンベルクには、その問いを改めて投げかけてくる力がありました。

最後に、この試合にふさわしい言葉を添えて終わりたいと思います。 「Erfolg ist kein Glück, sondern das Ergebnis von Arbeit, Mut und Ausdauer.」 ──「成功は運ではない。努力と勇気、そして粘り強さの結果なのだ。」

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