レアル・マドリードの“若き名将”シャビ・アロンソに訪れた初めての試練──3試合未勝利が揺さぶる信頼とクラブの未来
이 칼럼 공유하기
レアル・マドリード新監督、シャビ・アロンソの試練──「若き名将」はなぜ早くも揺れているのか
「世紀のボランチ」が、今度はベンチで試されているのかもしれません。
シャビ・アロンソ。 レアル・ソシエダで台頭し、リバプールで「イスタンブールの奇跡」を演出し、レアル・マドリードとバイエルン・ミュンヘンでタイトルを積み上げ、スペイン代表としてワールドカップとユーロ連覇を成し遂げた男。
その彼はいま、かつて自らもプレーしたクラブ、レアル・マドリードの監督として大きなプレッシャーの中にいます。 しかも理由は「3試合勝ちなし」。 たったそれだけで「解任危機」という言葉が飛び交うのが、銀河系クラブの現実です。
レバークーゼンからマドリードへ──最旬「若き名将」の到着
シャビ・アロンソは指導者としても、すでに華やかな道のりを歩んできました。 レアル・マドリードU14での指導を経て、レアル・ソシエダBをセグンダ昇格へ導き、その後に就任したバイエルン・レバークーゼンでは、ブンデスリーガ初優勝とDFBポカール制覇という「国内無敗二冠」という歴史的快挙を達成しました。
その勢いを買われる形で、2025年夏、ついに古巣レアル・マドリードの監督へ就任。 就任当初、マドリーは7連勝スタート。 クラシコも制し、「ペップの次の世代を代表する監督」「世界最高の若手監督」としての評価は一気に高まりました。
ところが秋に入り、空気が一変します。 リバプールに敗れ、ラージョ・バジェカーノとエルチェに連続ドロー。 3試合勝利なしというだけで、メディアは一斉に騒ぎ始めました。
| 観点 | 開幕〜好調期 | 秋の低迷期 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 結果 | 7連勝・クラシコ制覇 | 3試合未勝利(1敗2分) | △ 急落 |
| 戦術スタイル | 高位プレッシング・ボール保持・可変布陣 | 同スタイル継続も成果薄い | ◎ 一貫した哲学 |
| 外部評価 | 「世界最高の若手監督」と絶賛 | 「解任危機」とメディアが一斉報道 | △ 急転 |
| エース起用 | 主力フル先発 | ヴィニシウスをベンチ・3SBの実験布陣 | ○ 大胆な試み |
| 監督の言葉 | 「選手が望み自分も望む」 | 「まだ11月、批判を甘受する準備はできている」 | ◎ 冷静維持 |
「3試合勝てないだけ」で始まる解任話──マドリーという特異な世界
フランス語の記事は、こんな一文から始まります。
「Après trois matchs sans victoire (seulement), Xabi Alonso est déjà menacé au Real Madrid.」
「たった3試合勝てなかっただけで、シャビ・アロンソはすでにレアル・マドリードで危機にさらされている。」
たった3試合。 シーズンはまだ11月。 それでも「短期主義」は、いわゆる「世界最高のクラブ」を自称するレアルでも健在です。
ラージョ戦も、エルチェ戦も、相手は決して楽な相手ではありません。
エルチェ戦のデータでは、レアルが生んだエクスペクテッド・ゴール(xG)はわずか0.82。 一方、エルチェは1.19。 数字の上ではレアルが押し込まれた格好で、「内容のないドロー」への失望が渦巻きました。 スペイン紙ASは「désenchantement généralisé(全般的な幻滅)」とまで表現しています。
- 戦術変更後の「結果が出ない時間」を選手・保護者に事前説明する — アロンソがレバークーゼン仕込みの高位プレッシングをマドリードに持ち込んだように、新スタイルの浸透には時間がかかることを着手前に共有しておく
- 「私たちは同じ船に乗っている」という一体感を繰り返し言語化する — 結果が出ない時期にアロンソが語り続けた「共に勝ち共に苦しむ」という表明は、チームが崩れかけた局面での接着剤になる
- 大胆な采配の意図を試合後に選手に開示する習慣を持つ — ヴィニシウスのベンチスタートのような型破りな起用をした場合、理由を伝えることが翌日以降の信頼と練習の質を守る
スターたちの不信? ヴィニシウス、ベリンガム、バルベルデの名前
さらに、懸念は内容だけに留まりません。 内部の空気にも「不穏」の二文字が漂い始めていると報じられています。
「Vinícius [...] aurait décidé de ne pas prolonger son contrat [...] à cause de lui. Jude Bellingham et Federico Valverde seraient aussi circonspects de son management.」
「ヴィニシウスは、彼(アロンソ)のために、首都での契約を延長しないと決めたという。ジュード・ベリンガムとフェデリコ・バルベルデも、彼のマネジメントに懐疑的だとされている。」
エルチェ戦では、ヴィニシウス・ジュニオールがベンチスタート。 代わりに右サイドバックのトレント・アレクサンダー=アーノルド、フラン・ガルシア、アルバロ・カレラスという「3人のサイドバック」が先発するという大胆な布陣が選択されました。
この采配はメディアもサポーターも驚かせました。 「なぜエースを外したのか」「なぜこれほどまでに実験的なのか」。
監督の新しいアイデアは、うまくいっているときは「革命」として称賛されますが、結果が出ないときは「迷走」と批判されます。 あなたは、この選択をどう感じるでしょうか。 「新しいレアル・マドリードを作るためのチャレンジ」と見るのか。 「やりすぎ」と見るのか。
- 試合中は「なぜこの選手がベンチなのか」を戦術視点で考える習慣をつける — ヴィニシウスのベンチスタートのような意外な采配には監督の意図がある。感情的に批判する前に「どんなゲームプランか」を想像すると観戦力が高まる
- xGなどのデータ指標で試合の「内容」を評価する目を持つ — エルチェ戦のようにレアルのxGが0.82対エルチェ1.19という数字は、スコア以上に試合の実態を示す。データを見る習慣が感情論を超えた分析につながる
- 新監督の初年度は「シーズン全体」で評価する視点を持つ — 3試合で解任論が出るレアルのプレッシャーの中でも「まだ11月」という時間軸を持てるかどうかが、ファンとしての成熟度を表す
高い位置からのプレッシング──「レアルらしくない」変化への戸惑い
批判の矛先は戦術にも向かっています。
「La nouvelle approche de Xabi Alonso, avec notamment ce pressing haut (anormal dans la culture du Real Madrid), est difficilement perceptible.」
「シャビ・アロンソの新しいアプローチ、特に高い位置からのプレッシングは、レアル・マドリードの文化からすると異例であり、その良さがなかなか見えづらくなっている。」
レアル・マドリードといえば、守備では「中盤で構えてボールを奪い、速いカウンター」というスタイルのイメージが強いクラブです。 ジダン時代のCL三連覇も、アンチェロッティの「レミンターダ」も、どちらかと言えば「待ってから刺す」サッカーでした。
一方、シャビ・アロンソはレバークーゼンで、高い位置からのプレッシングとボール保持、可変的なポジショニングを組み合わせた現代的なスタイルで成功しました。 それをマドリードにも持ち込もうとしているのだと考えられます。
しかし、新しいスタイルは時間を要します。 選手も、サポーターも、「見慣れないレアル」を前に戸惑っているのかもしれません。
あなたなら、自分のクラブが「変わろうとしている時間」を、どれくらい待てるでしょうか。 半年でしょうか。 1シーズンでしょうか。
シャビ・アロンソの言葉ににじむ「一体感」への信頼
批判が渦巻く中で、シャビ・アロンソはこう語っています。
「Le lien entre les joueurs se renforce. Il manque le résultat, mais nous en sommes conscients et prêts pour la critique. Notre état d’esprit est bon. [...] Nous sommes tous dans le même bateau. Nous célébrons les victoires et nous souffrons en cas de défaite.」
「選手同士のつながりは強くなっている。足りないのは結果だけだが、私たちはそれを理解していて、批判を受ける準備もできている。メンタリティは良い。私たちは皆、同じ船に乗っている。勝てば一緒に喜び、負ければ一緒に苦しむ。」
さらに、ラージョ戦後にはこんな言葉も残しています。
「Il faut être exigeant envers soi-même et aussi modérer son comportement. Nous ne sommes qu’en novembre.」
「自分自身には厳しくあるべきだが、同時に振る舞いは抑制的である必要もある。まだ11月なのだから。」
冷静さを失わない姿勢。 「短期主義」の真っ只中でも、長いシーズンを見渡そうとする視線。 それは、現役時代に後方からゲームをコントロールし続けた彼らしさでもあります。
ただし、監督の世界では「時間は与えられるものではなく、勝ち取るもの」とも言われます。 選手が信じて走り続けてくれるか。 クラブがプロジェクトとして支えてくれるか。 観客がスタンドから背中を押し続けてくれるか。
「選手が望み、監督が望む」──就任時の言葉が、いま試される
今夏、就任会見でシャビ・アロンソは、レアル・マドリードの監督になる条件をこう語っています。
「Il y a deux raisons pour devenir le coach du Real : la première, que les joueurs te veulent, la deuxième que tu les souhaites.」
「レアルの監督になるには2つの理由がある。ひとつ目は、選手たちが君を望むこと。二つ目は、君自身が彼らを望むことだ。」
自分は、レアルの選手たちと共に戦いたい。 そして選手たちも、自分を求めてくれている。 その相思相愛の関係が前提だ、というメッセージです。
しかし今、メディアは「選手たちの支持が弱い監督」として彼を語り始めています。
サッカーは、監督一人ではどうにもなりません。 「監督がどれだけ優れていても、選手が信じなければピッチでは何も起きない」。
「Le Basque a besoin de ses joueurs. Mais, et c’est triste à admettre, c’est à eux à décider. S’ils n’y croient plus, [...] le Real Madrid ne peut avancer.」
「バスク人(アロンソ)は選手たちを必要としている。だが悲しいことに、決めるのは彼らなのだ。もし彼らがもう信じないなら、レアル・マドリードは前へ進むことができない。」
クラブの未来を決めるのは、戦術ボード上の矢印だけではなく、「信頼」という目に見えないもの。 これは、プロの世界に限らず、少年サッカーのチームでも、学校の部活でも、同じことが言えるのではないでしょうか。
「信じ続ける」という難しさと、ファンとしての問いかけ
パリ・サンジェルマンのルイス・エンリケも、2024年秋の不調時にこう語っていました。
「Il manque un peu de confiance, de clarté, de précision, de croyance… Je répète, on va continuer d’insister.」
「足りないのは、ほんの少しの自信、明確さ、精度、そして信じること……。私は何度でも言う、私たちはやり続ける。」
このとき、PSGも結果が出せず、「監督交代」が取り沙汰されていました。 しかし、その後彼らは立て直し、再び勝利を重ねていきます。
だからこそ、今、レアル・マドリードとシャビ・アロンソの状況は、ひとつの問いを投げかけているように思えます。
あなたは、自分のクラブが一時的に結果を失ったとき、「信じ続ける側」でいられるでしょうか。 それとも、「変化」を求めてしまうでしょうか。 どちらが正しい、という話ではありません。 ただ、ファン一人ひとりのスタンスが、クラブの文化を少しずつ形づくっていくのもまた事実です。
これからのアロンソとレアル・マドリード
この先、レアル・マドリードにはオリンピアコス、ジローナ、アスレティック・クラブという3つのアウェーゲームが待っています。
結果が出れば、「一時の批判」として忘れ去られていくかもしれません。 結果が出なければ、本当に「解任」の2文字が現実味を帯びてくるかもしれません。
どちらに転ぶにせよ、シャビ・アロンソの物語が「順風満帆のまま終わることはない」ということだけは、はっきりしました。 偉大なミッドフィルダーが、偉大な監督になるためには、避けて通れない試練なのかもしれません。
その過程を、私たちはどう見つめ、どう応援し、どう批判していくのか。 サッカーを愛する者として、一緒に考えていければと思います。
最後に、彼の状況に重なるような言葉をひとつ。
「Success is no accident. It is hard work, perseverance, learning, sacrifice and most of all, love of what you are doing.」
「成功は偶然ではない。それは、努力、粘り強さ、学び、犠牲、そして何より、自分のしていることへの愛から生まれる。」(ペレ)
