怪我と不振を抱えながら2026年ワールドカップ出場を目指すネイマールと古巣サントスでの現在地

揺れる天才ネイマールとサントスの現在地――傷だらけの王子は2026年W杯へ再び歩き出せるのか

DEFINITION
ネイマールの現状とは:ケガと不振を抱えたまま2026年W杯を目指す天才の苦闘
ネイマールは2025年にサントス復帰後、4度の負傷・25試合7ゴールと低迷が続く。アンチェロッティ監督は「6ヶ月の猶予」を示すが、2026年W杯出場の最大の壁は意欲ではなくフィジカルコンディションだと専門家は指摘する。

ネイマールとサントスの「今」をどう受け止めるか――2026年W杯を前に揺れる天才の現在地

「ネイマール」と聞いて、あなたの頭にはどんなシーンが浮かぶでしょうか。

鮮やかなステップで相手をかわし、あり得ない角度からゴールを決める姿。

バルセロナでメッシ、スアレスと組んだ“MSN”の一角として、ヨーロッパを席巻した日々。

それとも、今は少し切ない懐かしさ、いわゆる「ノスタルジー」が先に来るかもしれません。

ブラジル代表歴代最多得点者となったネイマール・ダ・シウバ・サントス・ジュニオール。

かつて「王様」の系譜を継ぐ存在と見られたこの男は、今サントスでキャリアでもっとも低い時間を過ごしていると言われています。

2026年ワールドカップを前にしたこの数ヶ月が、彼の「物語の終章」をどう彩るのか。

それは、私たちサッカーファンにとっても、ひとつの大きな問いになりつつあります。

サントス復帰と苦しい現実――数字が物語るもの

2025年、ネイマールは古巣サントスに戻りました。

若くしてスター街道を歩み始めたあのクラブに、再び帰ってきたのです。

しかし、その姿は、あの頃とまるで同じとはいきません。

彼は、2023年10月のウルグアイ戦で前十字靭帯と半月板を損傷。

369日もの長いリハビリ生活を強いられました。

サウジアラビアのアル・ヒラルへの“黄金”移籍を経て、再びブラジルに舞い戻ったものの、その復帰は順風満帆からは程遠いものでした。

2025年3月以降、サントスでプレーしたのは約1,800分、25試合。

その結果は「7ゴール・3アシスト」。

絶対的エースに期待される数字としては、あまりにも物足りないものです。

特にブラジル全国選手権・ブラジレイロンに絞ると、35試合中17試合に出場してわずか4ゴール。

さらに、3月・4月・9月には筋肉系のトラブル、そして最新の半月板の問題と、計4度のケガでピッチを離れることになりました。

サポーターが望んだ「救世主の帰還」は、現実には「負傷との戦い」と「苦しいパフォーマンス」の連続となっています。

そしてチーム・サントス自体もまた、かつての輝きを失いつつあります。

残り3試合でクラブ史上2度目のセリエB降格の危機に直面しており、エースのネイマールは、今季中にもうピッチに立つことはできません。

クラブにとっても、選手本人にとっても、あまりに苦いシーズン。

この状況を、私たちはどう見つめればいいのでしょうか。

三つの試合が映し出した「ネイマールのいま」

今季11月に行われた3試合は、ネイマールの現在地を象徴するような「三部作」になっています。

第1幕:フラメンゴ戦――怒りと批判

マラカナンでのフラメンゴ戦。

スコアは3-2の敗戦。

85分にネイマールは交代を命じられ、怒りを露わにしてベンチへ。

その直後、サントスは立て続けにゴールを奪い、あと一歩で同点に追いつくところまで迫りました。

ピッチにいない間にチームが反撃したことで、彼への批判は一気に高まります。

元選手やファンからは、プレー内容だけでなく態度についても厳しい言葉が浴びせられました。

輝くヒーローだった頃と同じ「10番」でも、そこに向けられる視線は、今や優しさだけではありません。

COMPARISON / ネイマール:各フェーズのキャリア比較
時期 クラブ 主な実績 フィジカル状態 評価
サントス時代(〜2013) サントスFC リベルタドーレス制覇・コパ・アメリカ 全盛期・問題なし
バルセロナ時代(2013〜2017) FCバルセロナ MSNでのCL制覇・国内三冠 安定・高水準
PSG時代前半(2017〜2019) パリ・サンジェルマン リーグ・アン2連覇 中足骨骨折で離脱多発
PSG時代後半〜アル・ヒラル(2019〜2024) PSG/アル・ヒラル 代表最多得点記録達成 前十字靭帯・半月板損傷
サントス復帰後(2025〜) サントスFC 25試合7ゴール・3アシスト 4度の負傷・低調
◎=絶好調期 ○=標準的活躍期 △=離脱・苦戦期

第2幕:パルメイラス戦――涙と重圧

続くパルメイラス戦は、残留争いの行方を左右する大一番。

試合は後半アディショナルタイムの劇的ゴールで1-0の勝利。

サントスは降格圏を一時脱出しました。

試合後、カメラが捉えたのは、ピッチに座り込むようにして涙をこぼすネイマールの姿でした。

言葉では語られないプレッシャー、ケガの不安、クラブの重み、自分自身への苛立ち。

それらが一気にあふれ出たような光景でした。

「泣く」という行為は、プロとして弱さに見えるかもしれません。

けれど、ひとりの人間として見れば、そこには共感できる感情があるのではないでしょうか。

あなたは、ネイマールの涙をどう受け止めましたか。

FOR COACHES / FOR COACHES
傷ついた天才から何を学ぶか
  1. 選手の「我慢のサイン」を見逃さない — ネイマールのように慢性的なコンディション不良が続く選手は、試合に出たがる本人の意思だけでなく、医療スタッフと連携して出場可否を判断する
  2. 若手に「天才神話」の代償を伝える — 「1試合でも多く出る」思考が長期的なキャリア短縮につながる事例として、ネイマールの軌跡を育成現場で活用する
  3. 復帰後の負荷管理計画を明文化する — 大怪我(前十字靭帯・半月板)から戻った選手は、復帰後6〜12ヶ月の出場時間制限と段階的な強度増加プランを事前に設定しておく
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FOR PLAYERS & PARENTS / FOR PLAYERS & PARENTS
天才でも「身体の声」には勝てない
  1. 痛みを無視してプレーし続けることは勇気ではない — ネイマールが4度の負傷を繰り返したように、小さなサインを見逃すと長期の離脱につながる。試合中に違和感を感じたら声に出す習慣をつける
  2. 試合の評価は「数字」だけではない — 1試合のゴールやアシストよりも、怪我なく全力でプレーし続けることがチームへの最大の貢献であることを理解する
  3. 夢を持ち続けることとリスク管理は両立する — 「1%の可能性と99%の信念」というネイマールの姿勢は大切だが、そのための身体づくりと休養の確保が前提条件になる

第3幕:ミラソウ戦――ゴールと痛恨のPK

そしてミラソウ戦。

ネイマールは3ヶ月ぶりとなるゴールを決め、試合の口火を切りました。

しかし、試合は1-1のドロー。

追いつかれるきっかけとなったのは、ネイマール自身が与えてしまったPKでした。

「ヒーロー」と「戦犯」。

相反する2つの役割を、同じ試合の中で背負ってしまう。

そこには、かつての絶対的な“王子様”ではない、等身大のネイマールの姿が浮かび上がってきます。

2026年ワールドカップと「壊れやすい身体」という現実

2026年、ワールドカップがやってきます。

ブラジル代表“セレソン”は、いま明確な「カリスマ」を欠いていると言われています。

そんな中で、ネイマールは今もなお代表の象徴的存在であり続けています。

彼自身は、はっきりと意思を示しています。

「出たい」。

「代表で戦いたい」。

その思いは揺らいでいません。

一方で、ブラジル代表を率いるカルロ・アンチェロッティ監督は会見でこう語りました。

「Tiene seis meses para llegar a la lista final.」

(「最終メンバーに入るために、彼には6ヶ月の時間がある。」)

この言葉には、希望と同時に、厳しい現実も含まれています。

ネイマールに与えられた時間は、無限ではありません。

そして、本当に問われているのは「気持ち」の問題ではないのかもしれません。

「La pregunta que ahora debemos plantearnos no es si Neymar tendrá la capacidad mental de llegar a punto a la cita mundialista, más bien debería ser si su cuerpo le dejará ni siquiera intentarlo.」

(「いま私たちが問うべきなのは、ネイマールにワールドカップへ向けての精神的な準備ができるかどうかではない。

むしろ、そもそも彼の“身体”が、挑戦すること自体を許してくれるのかどうかだ。」)

メンタルではなくフィジカル。

気持ちではなく、膝や筋肉、関節。

どれほどの情熱を持っていても、身体がついて来なければプレーはできません。

これはネイマールだけでなく、すべてのアスリートが向き合わなければならない、避けられない現実です。

「王にならなかった王子」か、それとも——

ネイマールのキャリアを語るとき、たびたび使われるフレーズがあります。

「el príncipe que no quiso ser rey」

(「王になろうとしなかった王子」)

パリへの移籍、度重なる負傷、プライベートをめぐる批判。

「もっとできたはずだ」「もっと多くを成し遂げられたはずだ」。

そんな残念さを込めて、こう呼ばれることもあります。

けれど、私たちは本当に、彼を「なり損ねた王」とだけ語るべきなのでしょうか。

バルセロナでメッシやクリスティアーノと肩を並べるように戦い、子どもたちの“憧れの選手”であり続けた事実もまた、確かに存在します。

無数の子どもたちが、校庭で、土のグラウンドで、「ネイマールの真似」をしてきました。

「1% de chance, 99% de fe」

(「1%の可能性と、99%の信念」)

ネイマール自身が示してきたこの考え方は、単なるキャッチフレーズ以上の重みを持っているようにも感じられます。

もしかしたら、彼のキャリアそのものが、この言葉で説明できるのかもしれません。

ヨーロッパ復帰?契約満了?未来はまだ書かれていない

2026年を前に、ネイマールにはもう一つ大きな決断が待ち構えています。

2026年1月、サントスとの契約が満了を迎えるのです。

「ブラジルに残るのか」。

「それとも再びヨーロッパに挑戦するのか」。

様々な噂は飛び交っていますが、今のところ何も確定したものはありません。

「De momento todos los caminos y rumores apuntan hacia Europa, pero como todo en el fútbol, nada está escrito.」

(「現時点ではすべての道と噂はヨーロッパを指している。

だが、フットボールにおいては、何一つとして“書き込まれた結末”など存在しない。」)

サントスでの再起を選ぶのか。

ヨーロッパのどこかで、最後の大舞台に賭けるのか。

それとも、まったく予想外の道を歩むのか。

ネイマールの次の一歩は、彼自身の“ラストチャプター”の色を大きく左右するでしょう。

私たちファンにできること——問いかけとしてのネイマール

ネイマールの現在地を見て、あなたはどう感じますか。

「もう終わった選手」でしょうか。

「最後の輝きを待つスター」でしょうか。

それとも、「ただのひとりの人間」として見えてきたでしょうか。

サッカーは、結果の世界です。

ゴール、アシスト、タイトル。

すべてが数字として、目に見える形で評価されます。

しかし同時に、サッカーは物語の世界でもあります。

怪我からの復帰、涙、葛藤、復活、そして別れ。

ネイマールのキャリアは、私たちに問いかけを投げかけているようにも思えます。

「天才は、常に完璧でなければならないのか」。

「怪我に苦しむスターを、私たちはどう見守るべきなのか」。

「憧れの選手が“老いていく姿”と、私たちはどう向き合うのか」。

いつか、ネイマールがスパイクを脱ぐ日が来ます。

そのとき、私たちはきっと、彼の若き日のプレーをまとめた動画を見ながら、音楽とともに少し涙ぐむのかもしれません。

「The Nights」や「Little Talks」のような、どこか懐かしさをそそる曲と一緒に。

そのとき、私たちは彼をどう記憶しているでしょうか。

「怪我が多かった選手」としてでしょうか。

「結局、王にはなれなかった」と切り捨てるのでしょうか。

あるいは、「一瞬一瞬を、誰よりもまぶしく輝いた天才」として、心に刻むのでしょうか。

終わりゆく星の「最後の輝き」に、何を願うか

星は、消える前に一番強く光ると言われることがあります。

ネイマールのキャリアもまた、その最後の輝きを私たちに見せてくれるのかもしれません。

もしかしたら、その「最後の閃光」はすでに過ぎ去ったのかもしれません。

それでも、「1%の可能性」を信じて、「99%の信念」で、彼の次の一歩を見守るという選択も、私たちには残されています。

あなたは、ネイマールのこれからに何を望みますか。

2026年のピッチに立つ姿でしょうか。

怪我なく、サントスや新天地で笑顔でプレーする姿でしょうか。

あるいは、「もう十分だよ」と静かな引き際を願う気持ちさえ、あるかもしれません。

サッカーは、ときに残酷です。

けれど同時に、最後の最後まで夢を見させてくれるスポーツでもあります。

その意味で、ネイマールは、私たちに「夢を見ること」と「現実を受け入れること」の両方を教えてくれているのかもしれません。

締めくくりに、こんな言葉を添えたいと思います。

「Success is not final, failure is not fatal: it is the courage to continue that counts.」

(「成功は終点ではなく、失敗も致命的ではない。

大切なのは、続ける勇気である。」)

ネイマールの物語は、まだ終わっていません。

私たちもまた、その続きを、自分自身の生き方と重ねながら見届けていくことになるのでしょう。

FAQ / よくある質問
Q. ネイマールはなぜ2025年にサントスに戻ったのですか?
A. ネイマールは2023年10月に前十字靭帯と半月板を損傷し、369日間のリハビリを経てアル・ヒラルへ復帰したものの、スペースを見つけられなかった。古巣サントスへの復帰は「再起の場所」として選ばれたが、引き続き筋肉系のトラブルや半月板の問題で4度の離脱を繰り返している。
Q. ネイマールは2026年ワールドカップに出場できますか?
A. アンチェロッティ監督は「最終メンバーに入るために6ヶ月の時間がある」と述べており、出場の可能性は残っている。しかし最大の問題は意欲ではなく身体の状態で、「そもそも彼の身体が挑戦すること自体を許してくれるのかどうか」が問われている。
Q. ネイマールのサントス時代の成績はどうですか?
A. 2025年の復帰後、ブラジレイロン(全国選手権)では35試合中17試合に出場してわずか4ゴール。全体では約1,800分・25試合で7ゴール・3アシストという数字にとどまり、絶対的エースに期待される水準を大きく下回っている。
Q. ネイマールは「王にならなかった王子」と言われるのはなぜですか?
A. パリへの移籍や度重なる負傷、プライベートをめぐる批判から「もっとできたはずだ」という残念さを込めて「el príncipe que no quiso ser rey(王になろうとしなかった王子)」と呼ばれる。バルセロナでメッシと肩を並べた才能がありながら、タイトルや安定した活躍という意味では潜在能力を最大限に発揮しきれなかったという評価が背景にある。
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