グローバルをつなぐ指導論 ― マーク・レイランドとCFGが切り拓く世界基準のサッカー育成
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グローバル化するフットボールの最前線 ― Mark Leylandが担う「世界をつなぐ指導論」とは
現代フットボールでは、戦術や技術の進化だけでなく、「クラブのグローバル戦略」もまた激しく発展しています。 その最前線に立つ人物の一人が、City Football Group(CFG)の新たな「Global Coaching Director(グローバル指導ディレクター)」に就任したMark Leyland(マーク・レイランド)氏です。 彼の歩みや役割、そしてこれからのフットボールにおける新たな挑戦について、私たちファンやサッカーを学び続ける全ての人と一緒に考えてみたいと思います。
City Football Groupというビジョン
まず、CFGとは何かをおさらいしておきましょう。 CFGはイングランドのマンチェスター・シティをフラッグシップに、世界13クラブ(日本の横浜F・マリノスなども含む)を擁する巨大グループです。 彼らが追求する最大の特徴は「クラブごとに異なる個性を尊重しつつ、共通したプレースタイルや価値観、指導論で全体を一体化する」という点にあります。 サッカーのグローバル化が進む中で、こうした一貫したビジョンがどのように構築され、各国・各クラブに落とし込まれていくのかは、常に興味深いテーマです。
| 観点 | リバプール時代 | ニューカッスル時代 | CFG現在 | |
|---|---|---|---|---|
| 役割 | ポストマッチ・アナリスト(8年以上) | コーチ・アナリスト | Global Coaching Director | |
| 関係した監督 | ユルゲン・クロップ(「成功に大きく貢献」と評価) | エディ・ハウ(「エリートプロセス」と感嘆) | CFG13クラブのコーチ陣全体 | |
| 学びの特徴 | データを戦術・選手成長に翻訳する能力を磨く | 18ヶ月で「確実により良い実践者になれた」と自己評価 | 毎日異なる文化・言語・アイデンティティから新たな学び | ◎ |
| 指導範囲 | 一クラブのファーストチーム分析 | 一クラブのコーチ・アナリスト | 13クラブにまたがるコーチ育成・指導法統括 | ◎ |
| 方法論の特徴 | 試合分析の実践的活用 | エリート集団の訓練プロセス吸収 | 客観的データと事実に基づく共通指導法確立 | ○ |
マーク・レイランドとは誰か
レイランド氏は元々リバプールFCで「ファーストチーム・ポストマッチ・アナリスト」を8年以上担当し、ユルゲン・クロップ監督に「チームの成功に大きく貢献した」と高く評価された存在です。 彼の分析は単なるデータの羅列を超え、実際のトレーニングや選手の成長、戦術への“翻訳”ができることが特徴でした。
クロップ監督はかつて、「He played a big part in our success(彼は私たちの成功に大きく関わってくれた)」という言葉でレイランドを讃えています。 いまやフットボールの現場において、データ分析とコーチングが切り離せないものであることを彼は体現してきました。
- 試合後のデータ分析を選手が使える言葉に変換して伝える — レイランド氏がリバプールで実践した「データの翻訳」のように、数字を戦術指示や選手へのフィードバックに具体的に落とし込む習慣を持つ
- 異なる指導環境を積極的に経験して自分の指導観を磨く — レイランド氏がリバプール→ニューカッスル→CFGと環境を変え続けたように、「環境が変わると人は成長する」という視点を自分の指導キャリア設計に活かす
- クラブ固有の文化を尊重しながら共通の指導原則を浸透させる — CFGが横浜F・マリノスなど異なる文化圏のクラブに共通アイデンティティを植え付けているように、チーム内の多様な選手背景を認めながらも目指す共通プレースタイルを明文化して共有する
変化する役割、より深まるグローバル化
リバプール退団後、レイランド氏はニューカッスル・ユナイテッドでエディ・ハウ氏(現監督)の下、コーチ・アナリストとして新しい挑戦を始めます。 彼は自身の成長について、「Although I was only there 18 months, it 100% made me a better practitioner, just by changing the environment, the feel and the people I worked with.(わずか18ヶ月だったが、環境や人、空気が変わったことで私は確実により良い実践者になれた)」と述べています。
環境が変われば当然ながら現場の流儀も変わります。 ハウ監督のコーチングチームについて「They are so elite. Their processes, their delivery of training sessions, their review of matches and the detail they go into in analysing the performance of themselves and the players is mind blowing.(彼らは本当にエリートだ。トレーニングや試合レビュー、自己分析や選手分析の深さには本当に驚いた)」と語っています。 このようなプロ集団と共に働くことで、レイランドの指導観はさらに磨かれていったのでしょう。
- CFGのグローバルネットワークが日本サッカーにも恩恵をもたらしている — 横浜F・マリノスはCFGの一員として世界基準の育成法や戦術を日本に持ち込んでいる。国内リーグで試合を見る際には、こうしたグローバル視点も意識してみよう
- アナリストという職業がトップチームの勝利に直結している — 「データ分析するだけ」ではなく、選手・監督・育成現場を繋ぐ「翻訳者」としてのアナリストの役割は現代サッカーで不可欠。将来の職業選択の視野に入れてみよう
- 異文化・異言語の仲間と共通目標を持つことの難しさと面白さを理解する — レイランド氏が「毎日新しいことを学んでいる」と語るように、多様性の中でも共通の目標に向かうプロセスには深い学びがある。チームスポーツを通じてその感覚を早期に体験しておこう
City Football Groupでの挑戦
CFGでは2023年より「Coaching Methodology(指導法)」の責任者に就任、今回さらに「Global Coaching Director」として指導者サポートや育成、リクルートメントまで幅広く統括することになりました。 彼の任務は「各クラブやアカデミーにおけるコーチングの質を保証し、多様な文化・言語の壁を越えてグループ全体のフットボール・アイデンティティを確立する」ことです。
レイランド氏は、「We have 13 teams in the City Football Group. It’s grown pretty rapidly over the last few years, starting with Manchester obviously as the first and flagship team. The ownership group have expanded across the globe and, as a group, as City Football Services, we want our teams to play with a collective identity or ideology and to do that there needs to be a methodology. It needs to be founded on objective data and based on fact.(CFGには13のチームがある。急速に成長してきた。各チームが共有のアイデンティティやイデオロギーでプレーするためには、明確な指導方法が必要で、それは客観的なデータや事実に基づくものでなければならない)」と語っています。
実際、国や文化、言語をまたぐ13チームを一つにまとめるには、単なる理念や掛け声ではなく、具体的なデータ・方法論が不可欠です。 「The variety of people within the group and the variety of cultures and languages and identities is so far-reaching that it’s something I’m going into every day and learning something new.(グループには様々な国籍、人種、文化、言語が集まっている。私は毎日新しいことを学んでいる)」という言葉には、日々の努力と謙虚さ、そして未来への意欲を感じさせます。
グローバル指導論がもたらすもの
例えば日本の横浜F・マリノスもCFGの一員ですが、すべてをマンチェスター・シティのコピーにするのではなく、現地文化に根ざしつつ世界基準の育成や戦術を導入しています。 このようなハイブリッドなアプローチは、日本サッカーが世界で戦うための貴重な財産になりますし、それは他のCFGグループにも同じことが言えます。
違いを認め合い、高め合いながら、全体としては一つの目標に向かう。 そのつなぎ役となるのが、まさにレイランド氏のような「指導論総括者」なのです。
私たちがこれから期待できることとは
ここで、読者のみなさんにも問いかけます。 「自分がもし世界13箇所のクラブで指導し、選手を育て、共通のサッカースタイルを浸透させていくとしたら、どんな困難があり、どんな面白さを見つけられるでしょうか?」 サッカーが「世界共通言語」と言われても、やはり現場ごとに文化や感覚は違います。 それを一つに紡ぐための努力や工夫に、私たちはどんな学びを見出せるのでしょう。
小学生も、プロや指導者を目指す人も、サポーターも、こうした「グローバルな方法論」を知ることで、サッカーの奥深さや広がりをもっと楽しめるはずです。
未来への名言で締めくくる
これからもレイランド氏の挑戦に目が離せません。 そして、サッカーが人と人、国と国をつなぐ原動力であることを意識したいものです。 「Football is the most important of the least important things in life.(サッカーは、人生で最も重要でないものの中で最も重要なものだ)」by アリゴ・サッキ
サッカーが与えてくれる探求と成長の機会は、これからも無限に広がっていきます。
