ブラジルU-17がポルトガルにPK戦で敗れポルトガルとオーストリアが決勝へ進んだFIFA U-17ワールドカップ2025準決勝を伝えるコラムのサムネイル画像

ブラジルU-17、PK敗戦から始まる新たな物語──ポルトガルとオーストリアが挑む初優勝への決戦

DEFINITION
FIFA U-17ワールドカップ2025準決勝の結果とは
カタール・ドーハで行われた2025年FIFA U-17ワールドカップ準決勝で、ブラジルはポルトガルに90分0-0の後PK戦6-5で敗れ、史上最多に並ぶ5度目の優勝を逃した。決勝はポルトガル対オーストリアとなり、両国ともU-17ワールドカップ初優勝がかかる歴史的な一戦となった。ブラジルはイタリアとの3位決定戦に回り、敗戦からの再起と育成年代の成長という問いを突きつけられている。

ブラジルU-17、PK戦の涙と新たな一歩──ポルトガルとオーストリアが描く「初優勝」の物語

カタールで行われているFIFA U-17ワールドカップで、ブラジル代表「セレソン」はまたしてもPK戦までもつれ込む苦しい戦いを演じました。

しかし、今回はいつもの「ハッピーエンド」では終わりませんでした。

ポルトガルとの準決勝。

90分間を戦い抜いてもスコアは0-0のまま。

勝負の行方は、再び11メートルの静かなドラマに委ねられました。

結果は6-5でポルトガルの勝利。

ブラジルは、目の前にあった「史上最多に並ぶ5度目の世界一」の夢に、あと一歩届きませんでした。

けれど、この敗戦は「終わり」ではなく、むしろ「始まり」なのかもしれません。

PK戦という物語──勝者と敗者を分ける、ほんのわずかな差

U-17の年代では、技術や戦術だけでなく、「メンタル」や「経験の少なさ」も試されます。

PK戦は、その象徴のような時間です。

選手たちは、スタジアムの視線、仲間の期待、自分自身へのプレッシャーと向き合います。

一歩踏み出すたびに、心臓の鼓動が速くなる。

ボールを置き、深呼吸をし、助走をとる。

その一瞬に、これまでの努力と夢が詰まっています。

ポルトガルとのPK戦を制することはできなかったものの、そこで経験した感情や悔しさは、将来の彼らをきっと強くするでしょう。

私たちはつい「勝ったか、負けたか」だけを見てしまいますが、U-17という舞台は、むしろ「どんな経験を積めたか」が本当の価値なのかもしれません。

ポルトガルとオーストリア──新たな王者が生まれる決勝の舞台

準決勝を制したポルトガルは、決勝でオーストリアと対戦します。

会場はドーハのカリファ国際スタジアム。

キックオフはブラジル時間で11月27日(木)13時。

ここで一つ、非常に興味深いポイントがあります。

それは、ポルトガルもオーストリアも、これまで一度もU-17ワールドカップを制したことがないという事実です。

つまり、この決勝で必ず「新しいチャンピオン」が生まれるということになります。

世界のサッカー史に、新たな一行が刻まれる瞬間。

その主役がどの国になるのか、私たちはその証人になります。

ポルトガルといえば、多くの人がすぐに思い浮かべるのはクリスティアーノ・ロナウドかもしれません。

けれど、その「次の世代」が今、U-17の舞台で新しい歴史をつくろうとしているのです。

一方のオーストリアは、これまでユース年代で目立つ存在ではなかったかもしれません。

しかし、「無名」や「下馬評が低い」という評価は、若い選手たちにとっては、むしろ力に変えられるものでもあります。

静かに、しかし着実に勝ち上がってきたオーストリア。

強豪のイメージが根強いポルトガル。

この対照的な2つのチームが、同じ「初優勝」という目標を掲げて決勝に臨みます。

「We are ready to make history.(俺たちは歴史をつくる準備ができている)」
「俺たちは、歴史をつくる準備ができている」

そんな声が、ロッカールームで聞こえてきそうです。

ブラジルは3位決定戦へ──イタリアとの「もうひとつの決勝」

ブラジルの次の相手は、イタリアです。

試合は決勝戦の数時間前にキックオフ。

会場は同じくドーハのアスパイア・ゾーンで、ブラジル時間9時30分からボールが転がります。

3位決定戦は、ときに「消化試合」のように扱われることがあります。

しかし、本当にそうでしょうか。

U-17の選手たちにとって、この一試合一試合は、プロへの階段の一段目かもしれません。

ワールドカップという大舞台で、「代表」のユニフォームを着て戦える機会が、次にいつ訪れるかは誰にも分かりません。

「We still have something to fight for.(俺たちには、まだ戦うべきものが残っている)」
「俺たちには、まだ戦うべきものが残っている」

もし自分が選手だったら、そう自分に言い聞かせたいはずです。

3位という結果は、優勝ではありません。

しかし、「負けて終わるか」「勝って終わるか」は、選手たちの心に大きな違いを残します。

イタリアという強豪を相手に、ブラジルがどのようなサッカーを見せるのか。

それは、単なる順位争いではなく、「この世代の締めくくり」として、とても意味のある90分になるでしょう。

U-17という舞台が教えてくれる「成長」の価値

これまでのU-17ワールドカップの歴代優勝国を眺めてみると、サッカーの歴史と広がりが見えてきます。

1985年 ナイジェリア
1987年 ソビエト連邦
1989年 サウジアラビア
1991年 ガーナ
1993年 ナイジェリア
1995年 ガーナ
1997年 ブラジル
1999年 ブラジル
2001年 フランス
2003年 ブラジル
2005年 メキシコ
2007年 ナイジェリア
2009年 スイス
2011年 メキシコ
2013年 ナイジェリア
2015年 ナイジェリア
2017年 イングランド
2019年 ブラジル
2021年 大会中止(新型コロナウイルスの影響)
2023年 ドイツ

最も多くタイトルを獲得しているのは5回優勝のナイジェリア。

続くのが4回優勝のブラジル(1997、1999、2003、2019)。

今回、ブラジルはそのナイジェリアに並ぶ「5度目の頂点」を狙っていました。

しかし、その夢はポルトガル戦のPKで一度、棚上げされることになりました。

けれど、このリストを見ると、あることに気づかされます。

「ユース年代の成功=A代表での絶対的な強さ」ではない、ということです。

ナイジェリアやガーナのように、若い世代で世界を席巻した国でも、A代表でのワールドカップ優勝にはまだ届いていません。

一方で、ユースのタイトルが少なくても、A代表で栄光をつかんだ国もあります。

つまり、U-17は「未来の可能性を示す一つの目安」ではあっても、「すべてを決める答え」ではないのです。

大切なのは、この舞台を経験した選手たちが、どれだけ成長し、どんな道を歩んでいくか。

そして、その過程を私たちがどう見守り、どう受け止めるか。

敗戦から何を学べるか──ブラジルという「サッカー大国」への問いかけ

PKで敗れたブラジルに対して、私たちはどんな言葉をかけるべきでしょうか。

「もっと決められただろう」でしょうか。
「なぜ優勝できなかったのか」でしょうか。

もちろん、分析や反省は必要です。

しかし、U-17という年代にいる選手たちにとって、今いちばん必要なのは、責める言葉よりも、「次につながる視線」ではないでしょうか。

日本語でよく言われる言葉に、「失敗は成功のもと」というものがあります。

世界には似たような表現がたくさんあります。

「Failure is not the opposite of success, it’s part of success.(失敗は成功の反対ではなく、その一部である)」
「失敗は成功の反対ではなく、その一部である」

敗戦をどう受け止め、次にどう生かすか。

それは、サッカーだけでなく、勉強や仕事、日常生活のなかにも通じるテーマです。

ブラジルの選手たちも、ポルトガルの選手たちも、オーストリアの選手たちも、イタリアの選手たちも。

その一人ひとりが、勝利と敗北を経験しながら、少しずつ「サッカー選手」として、「一人の人間」として成長していきます。

私たちは、この物語から何を受け取るのか

ブラジルの3位決定戦。

ポルトガルとオーストリアの決勝。

それぞれの試合には、それぞれのドラマがあります。

あなたなら、どの瞬間に心を動かされるでしょうか。

PKスポットに立つ選手の表情。
失点のあとに守備陣を励ますキャプテン。
ゴールを決めたあと、ベンチに向けて走る若いストライカー。

その一つひとつに、「物語」が宿っています。

そして、その物語をどう受け取るかは、ピッチの外にいる私たち自身に委ねられています。

勝敗という結果だけを見るのではなく、その裏にある「努力」や「悔しさ」や「喜び」に、少しだけ想いを寄せてみる。

そうすることで、サッカーはただのスポーツではなく、「人生を学ぶ教科書」のような存在になっていきます。

U-17の学び

最後に、この大会の物語にふさわしい言葉をひとつ紹介します。

「Victory is not always winning the battle, but rising every time you fall.」
「勝利とは、いつも戦いに勝つことではなく、倒れるたびに立ち上がることである。」

ブラジルの選手たちが、今回の敗戦から立ち上がり、さらに大きく成長していくこと。

そして、ポルトガルとオーストリアの若き戦士たちが、新たな歴史の一ページを刻むこと。

そのすべてを、私たちはこれからも見届けていきたいものです。

COMPARISON / FIFA U-17ワールドカップ歴代優勝国と今大会の位置づけ
優勝回数 直近の優勝年 今大会の結果
ナイジェリア 5回(歴代最多) 2015年 △ 決勝進出なし
ブラジル 4回 2019年 △ 準決勝PK敗退・3位決定戦へ
メキシコ 2回 2011年 △ 上位進出なし
ポルトガル 0回(初優勝なし) なし ◎ 初の決勝進出・初優勝に挑戦
オーストリア 0回(初優勝なし) なし ◎ 初の決勝進出・初優勝に挑戦
◎=歴史的快挙、△=目標未達。ポルトガルとオーストリアの決勝は大会史上初めて「必ず新チャンピオンが生まれる」組み合わせ。
FOR COACHES / FOR COACHES
PK戦の準備と「敗戦後」の選手への関わり方
  1. PK戦を想定した練習を日常から取り入れ、プレッシャー下での動作を体に染み込ませる — U-17年代は経験不足がPK成功率に直結する。場数を増やすだけでなく「外した後にどう立ち直るか」まで練習に組み込むことが長期的なメンタル強化につながる
  2. 大会敗退後のミーティングでは結果ではなく「何を学んだか」を選手自身に語らせる — ブラジルのPK敗退のような悔しい結果の後こそ、責める言葉ではなく「この経験で何が身についたか」を引き出す対話が次の成長の起点になる
  3. 3位決定戦を消化試合として扱わず、個々の選手の課題克服の機会として設計する — ワールドカップという舞台で代表ユニフォームを着られる機会は限られる。この90分を「最後の課題演習」として位置づけ、選手の次のステップへの目標を明確にして臨む
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FOR PLAYERS & PARENTS / FOR PLAYERS & PARENTS
U-17の「負け」は未来への入口
  1. PK戦の悔しさが将来の自分を強くする財産になると知る — 世界の視線が集まるワールドカップのPKで経験した緊張と悔しさは、何百回の練習と同等の精神的財産になる
  2. ユース年代の成績とA代表での活躍は必ずしも一致しないことを知る — ナイジェリアやガーナはU-17最多優勝クラスだがA代表W杯では未優勝。若い世代の才能は長い目で見守ることが大切である
  3. ポルトガルとオーストリアの「初優勝への挑戦」を目撃する喜びを楽しむ — 強豪でなくても努力と準備で頂点に立てる。その事実は自分自身のサッカーや日常生活にも置き換えて考えるヒントになる
FAQ / よくある質問
Q. ブラジルU-17はなぜ今大会に特別な意気込みがあったのですか?
A. ブラジルはU-17ワールドカップで1997・1999・2003・2019年の4度優勝しており、最多優勝のナイジェリア(5回)に並ぶ5度目の優勝を目標にしていました。準決勝のポルトガル戦をPK6-5で落としたため、その夢は一度棚上げされることになりました。
Q. ポルトガルとオーストリアの決勝が歴史的と言われる理由は?
A. 1985年の大会創設以来、ポルトガルもオーストリアも一度もU-17ワールドカップを制したことがありません。どちらが勝っても必ず新チャンピオンが生まれるという大会史上初めての状況の決勝戦となりました。
Q. U-17ワールドカップの歴史からどんなことが読み取れますか?
A. アフリカ勢(ナイジェリア5回・ガーナ2回)や中南米(ブラジル4回・メキシコ2回)が上位を占め、ヨーロッパ勢もフランス・スイス・イングランド・ドイツと多様です。しかしユース大会の優勝とA代表でのW杯優勝は必ずしも連動せず、育成年代の強さと成人後の強さは別物であることが歴史から読み取れます。
Q. ブラジルとイタリアの3位決定戦はどんな意味を持ちますか?
A. 試合はドーハのアスパイア・ゾーンで決勝より数時間前にキックオフします。U-17選手たちにとって代表ユニフォームを着てワールドカップに立てる機会は限られており、「勝って終わるか負けて終わるか」は選手の心に大きな印象を残します。プロへの階段としての意味がある最終戦です。
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