2026年W杯へ再挑戦するブラジル代表 拠点ニュージャージーで始まる「勝負の準備」
Compartir esta columna
ブラジル代表の拠点はニュージャージーに決定 2026年W杯へ向けた「準備の勝負」はもう始まっている

2026年ワールドカップに向けて、ブラジル代表のアメリカでの拠点が正式に決まりました。 その場所は、ブラジルサッカー連盟(CBF)が以前から強く希望していたニュージャージーです。 大会本番はまだ先のように感じるかもしれませんが、こうした「どこに泊まり、どこで練習するか」という準備こそが、ワールドカップの戦いの一部です。
ブラジルは2024年のコパ・アメリカで思うような結果を残せず、アメリカの地に悔しさを残して去りました。 その同じ国に、今度はワールドカップ制覇を目指す「再挑戦者」として戻ってきます。 コパでの失望から、どんな学びを得て、どうやって2026年に生かしていくのか。 その答えを探る旅が、静かにニュージャージーから始まろうとしています。
RBニューヨークのトレーニング施設が「カナリア軍団」の新しい家に
ブラジル代表が拠点とするのは、ニュージャージー州モリスタウンにある「コロンビア・パーク・トレーニング・ファシリティ」。 MLS(メジャーリーグサッカー)のクラブ、ニューヨーク・レッドブルズ(RB New York)が日常的に使っているトレーニングセンターです。
この施設はすでに高い評価を受けている近代的な環境ですが、ブラジル代表の受け入れに向けて、さらに拡張工事と最新設備へのアップグレードが進行中です。 「世界で唯一の5度のワールドカップ優勝国」を迎える準備として、ピッチ外でも着々と舞台が整えられているのです。
選手たちが宿泊するのは、同じくニュージャージー州バスキング・リッジにある「The Ridge」。 このホテルは、ブラジル代表の選手、スタッフのために完全に貸し切りとなり、トレーニング施設までは車でわずか15分ほど。 移動時間が少ないということは、それだけ選手が休める時間、回復に充てられる時間が増えるということでもあります。
少し想像してみてください。 朝は静かな郊外の空気の中で朝食をとり、短いバス移動でトレーニング施設へ。 ピッチでは世界トップレベルの技術が交差し、午後にはミーティングやリカバリー。 夜はチームメイトと語り合いながら、次の試合への準備を進めていく。 そんな「大会中の日常」が、このニュージャージーを中心に展開されるのです。
CBFコーディネーター・ロドリゴ・カエターノの言葉
今回の拠点決定について、CBFの調整役を担うロドリゴ・カエターノはこう語っています。
「Creio que fizemos a melhor escolha dentro das nossas avaliações.」 「私たちの評価の中で、最善の選択ができたと信じています。」
「Desde quando asseguramos a classificação, tomamos todos os cuidados para encontrar um lugar que pudesse oferecer a estrutura necessária de treinamento, com privacidade, modernidade e conforto.」 「本大会出場を決めて以来、必要なトレーニング環境を備え、プライバシー、近代性、そして快適さを提供できる場所を見つけるために、あらゆる配慮をしてきました。」
「Após o sorteio que definiu as chaves e os locais dos jogos, intensificamos nossa busca e encontramos no CT do RB New York o cenário perfeito que pudesse receber a Seleção」 「組み合わせ抽選で対戦カードと試合会場が決まってからは、さらに探求を強め、RBニューヨークのトレーニングセンターに、セレソンを受け入れるのに理想的な環境を見つけることができました。」
この言葉から伝わってくるのは、「ピッチ外の準備も、勝利のための重要な一部だ」という強い意識です。 選手の名前や監督の戦術に注目が集まりがちですが、その裏には、こうした見えにくい“準備の積み重ね”があります。
私たちが日々の勉強や仕事で結果を求められるときも同じかもしれません。 テストの点数や試合のスコアだけでなく、そこに至るまでの環境づくりや準備に、どれだけこだわることができるか。 ブラジル代表の姿から、そんな視点も学べるのではないでしょうか。
フランスではなくブラジルの拠点に 「ニュージャージー争奪戦」の裏側
今回、CBFにはひとつの懸念がありました。 それは、FIFAランキングでブラジルより上位にいるフランス代表が、同じニュージャージーを拠点に選ぶのではないか、という点です。
ランキング上位のチームほど、希望した拠点を優先的に押さえやすくなります。 もしフランスがニュージャージーを選べば、ブラジルは別の都市を探さざるをえなかったかもしれません。
しかし、フランス代表が選んだのはボストン。 その結果、ブラジルは希望通りニュージャージーを本拠地にすることができました。
ここには、スタジアムとの距離や移動のしやすさ、気候、トレーニング施設、ホテル環境など、さまざまな要素が絡んでいます。 どの国も「ピッチの中だけでなく、外でも最高の準備をしたい」と考えており、その一つひとつの判断が、のちのワールドカップの結果に影響してくる可能性があります。
あなたなら、もし自分が代表チームのスタッフだったとしたら、どんな条件を優先しますか。 移動時間の短さでしょうか。 気候の安定でしょうか。 それとも、選手たちがリラックスしやすい静かな環境でしょうか。
カルロ・アンチェロッティとブラジル代表 グループCの戦い方をイメージする
ブラジル代表は2026年大会でグループCの第1シード(頭)を務めます。 同じグループに入ったのは、モロッコ、ハイチ、スコットランドの3チームです。
指揮官はカルロ・アンチェロッティ。 レアル・マドリーなど、数々のビッグクラブを率いてきた名将が、ついにワールドカップという舞台でブラジルを導きます。 ニュージャージーを拠点にしながら、彼がどんな準備をし、どんなサッカーを見せるのか。 世界中が注目するポイントのひとつです。
| 試合 | 日程(現地) | 会場 | 拠点からの条件 |
|---|---|---|---|
| vs モロッコ(初戦) | 6月13日(土)19時 | メットライフ・スタジアム(NJ) | ◎ 拠点と同エリア、移動負担最小 |
| vs ハイチ(第2戦) | 6月19日(金)22時 | リンカーン・フィナンシャル(フィラデルフィア) | ○ 同東海岸、時差・気候変化が小さい |
| vs スコットランド(第3戦) | 6月24日(水)19時 | ハードロック・スタジアム(フロリダ) | △ 高温多湿、コンディション適応が必要 |
| 練習拠点 | 大会期間中 | コロンビア・パーク(モリスタウン) | ◎ 拡張・最新設備に更新中 |
| 宿泊先 | 大会期間中 | The Ridge(バスキング・リッジ) | ◎ チーム完全貸し切り、練習場まで15分 |
第1戦:ブラジル vs モロッコ(6月13日・ニュージャージー)
初戦の相手は、2022年カタール大会でベスト4に進出したモロッコ。 試合会場は、ブラジル代表の「ホーム」とも言えるニュージャージーのメットライフ・スタジアムです。
・日時:現地時間 6月13日(土)19時(ブラジリア時間)
・場所:メットライフ・スタジアム(イーストラザフォード/ニュージャージー)
モロッコは、粘り強い守備と鋭いカウンターが持ち味のチーム。 ブラジルにとって、いきなり高い集中力が求められる難しい初戦になりそうです。
拠点とほぼ同じエリアで戦えることは、ブラジルにとって大きなメリットです。 移動の負担が少なく、気候や芝の感覚にも早く慣れることができるからです。
- 環境設計を試合から逆算して決める — CBFは初戦会場と同じニュージャージーに拠点を置くことで移動・気候・芝への慣れを最小コストで最大化した。試合会場から練習場・移動時間を逆算して準備を設計する習慣を持つ
- ピッチ外の回復時間を戦術と同列に扱う — 宿泊先から練習施設まで15分という設計は選手の回復時間を増やすための意図的な選択。練習内容だけでなく休息・食事・移動時間も計画対象に含める
- コパ2024の失敗を次の準備に変える — ブラジルはコパ・アメリカ2024の悔しさをバネに、同じアメリカの地でより周到な準備を選んだ。敗戦・失敗を具体的な改善項目に落とし込み次の挑戦に反映する
第2戦:ブラジル vs ハイチ(6月19日・フィラデルフィア)
2試合目の相手はハイチ。 会場はフィラデルフィアのリンカーン・フィナンシャル・フィールドです。
・日時:6月19日(金)22時(ブラジリア時間)
・場所:リンカーン・フィナンシャル・フィールド(フィラデルフィア)
ニュージャージーからの移動はありますが、同じ東海岸エリアでの試合であり、時差や気候変化による影響は比較的小さいと考えられます。 格上と見なされるブラジルにとっては、確実に勝点を積み上げたい一戦です。
- 準備の環境づくりが結果を左右することを知る — ブラジル代表が拠点・宿泊・移動時間にこだわったように、練習場所・就寝時間・食事の整備が試合当日のパフォーマンスに直結する。試合に向けた環境を家族で整える意識を持つ
- グループステージの対戦相手と会場を把握して観戦する — モロッコ(NJ初戦)、ハイチ(フィラデルフィア)、スコットランド(フロリダ)という3試合の流れを事前に把握して観戦すると、ブラジルの戦略・選手起用・コンディションの変化がより深く読める
- 失敗した場所に再挑戦する意味を子どもと一緒に考える — ブラジルはコパ2024で悔しさを残したアメリカで、今度はW杯優勝を目指して戻ってくる。うまくいかなかった大会・試合・テストの場所に再び臨む体験をわが子と一緒に意味づける
第3戦:スコットランド vs ブラジル(6月24日・フロリダ)
グループステージ最終戦は、フロリダ州のハードロック・スタジアムで行われるスコットランド戦です。
・日時:6月24日(水)19時(ブラジリア時間)
・場所:ハードロック・スタジアム(フロリダ)
フロリダは湿度が高く、ニュージャージーとは少し異なるコンディションになる可能性があります。 そこへの適応も含めて、チームの総合力が問われる試合になるでしょう。
スコットランドは、フィジカルの強さや熱いサポーターで知られる国です。 「技術のブラジル」と「気迫のスコットランド」という構図の中で、どんな展開になるのか。 すでに突破を決めている状況か、それとも勝点が必要なシビアな試合になっているかによっても、雰囲気は大きく変わってくるはずです。
「準備」は結果をどこまで左右するのか

今回のブラジル代表の選択から見えてくるのは、「環境づくり」に対する強いこだわりです。
・トレーニング施設は、近代的かつ拡張中のRBニューヨークの拠点
・ホテルはチーム専用で、移動は最小限
・初戦の会場は、拠点と同じニュージャージーのメットライフ・スタジアム
これらすべてが、「選手たちがベストパフォーマンスを発揮できるように」という逆算から組み立てられています。
もちろん、どれだけ準備を整えても、サッカーには予想外の出来事がつきものです。 ボール1つの転がり方、1本のパス、1回の判定が、試合を、そして大会そのものを左右してしまうこともあります。
それでも、ブラジルは「コパ・アメリカ2024での悔しさ」を胸に、今度はより周到に、より丁寧に準備を進めています。 私たちも、結果がどうであれ、「どれだけ準備にこだわれたか」という視点で、自分の挑戦を振り返ることができるのではないでしょうか。
あなたは、2026年のブラジル代表に何を期待しますか。 華麗な攻撃でしょうか。 それとも、アンチェロッティ監督の用意する戦術的な完成度でしょうか。 あるいは、若い新星たちのブレイクかもしれません。
ニュージャージーを拠点に戦うこのチームが、再び世界の頂点に立てるのかどうか。 2024年の失望から、どれだけ成長した姿を見せてくれるのか。 その答えを見届ける準備を、私たちファンも少しずつ始めていきたいところです。
最後に、一つの言葉を添えたいと思います。
「Success is where preparation and opportunity meet.」 「成功とは、準備と機会が出会う場所である。」
ニュージャージーで積み上げられる日々の準備が、ブラジル代表にとって最高の機会と結びつくのか。 2026年夏、その答えがピッチの上で示されることになります。