堂安律のフランクフルト適応記――数字に表れない総合力と「ファイナルサードの成熟」が示すブンデスリーガでの進化

堂安律、フランクフルトで進化する“総合力”──数字に表れない本当の価値と挑戦の軌跡

DEFINITION
堂安律のフランクフルトでの役割と評価とは
堂安律はアイントラハト・フランクフルトへの完全移籍後、右ウイングバックや守備的タスクを担う機会が増え、シュート数はフライブルク時代(平均3.49本)から平均1.71本へ減少。しかし「ゴールもアシストも守備もできる総合力が自分の武器」と語り、周囲との連携構築途上のなかでも数字以上の貢献を見せている移行期の選手である。

新たな挑戦の地、アイントラハト・フランクフルトで――堂安律が歩む成長の軌跡

ドイツ、ブンデスリーガの熱気と混沌のなかで、日本代表MF堂安律(どうあん りつ)がアイントラハト・フランクフルトへと完全移籍して約3か月。日本のサッカーファンたちにとって、その一挙手一投足はつねに注目の的となっています。

少年時代から欧州挑戦、そして“家長昭博2世”への称賛

今やヨーロッパ、その中でも強豪がひしめき合うブンデスリーガでプレーする堂安ですが、彼のキャリアは、兵庫県尼崎市・小学校時代の浦風FCから始まりました。「もっとレベルの高いチームへ行こう」という家族と自身の強い思いに突き動かされ、ガンバ大阪ユースでメキメキと頭角を現します。

フィジカルの強さと高度なプレービジョンが特徴の左利きであり、たびたび“家長昭博2世”という期待も寄せられました。「小さな努力の積み重ねが、やがて大きな結果を生む」――その言葉通り、飛び級でガンバ大阪トップ昇格を果たし、日本サッカー界の新星として早くからプロの世界に挑んでいきました。

COMPARISON / 堂安律 フライブルク時代 vs フランクフルト時代の比較
観点 フライブルク時代 フランクフルト(移籍後) 評価
シュート本数(平均/試合) 3.49本 1.71本(公式戦14試合) △ 減少
ゴール関与 リーグ全試合出場・10得点(自身初の快挙) 守備的タスク増でゴール関与機会が減少 △ 変化中
ポジション・役割 主に攻撃的なウイング 右ウイングバック・守備的タスクも担当 ○ 役割拡大
チームとの連携熟度 「誰にボールを返せばどう展開するか」の深い共通理解 「もう少し中でボールを受けたい」と連携構築途上 △ 適応中
フィジカル貢献 記録なし(比較基準) 延長115分まで全力稼働・FKでゴール寸前を演出 ◎ 献身的
自己評価(言語化) (発言記録なし) 「ファイナルサードの質は間違いなく上がった。サッカーが分かってきた」 ◎ 成熟実感
◎=ポジティブ変化/○=役割変化/△=数字上の課題または適応過渡期

“総合力”を武器に――オランダからドイツへ進化し続けるプレーメーカー

オランダ・フローニンゲン、ビッグクラブのPSVアイントホーフェン、そしてドイツ・アルミニア・ビーレフェルト、SCフライブルク…欧州を渡り歩き、どのクラブでも幾多の困難を乗り越え、活動の拠点を広げてきた堂安。ユニフォームを着替えても、変わらないのは「自分を信じて進み続ける」その強さです。

特にフライブルク時代は、リーグ全試合出場・10得点という自身初の快挙を成し遂げ、移籍先となったフランクフルトでも期待は大きいものがありました。

FOR COACHES / FOR COACHES 新天地適応期の選手をどう評価・支援するか
数字だけで選手を見ない指導者の視点
  1. ポジション変更後の「貢献の形の変化」を言語化して選手に伝える — 堂安がウイングバックに移行してシュート数が減ったように、役割変化は数字上の「下降」に見えることがある。指導者はその変化が成長なのか不適合なのかを具体的に説明し、選手が自分のプレーに意味を見出せるよう支援する。
  2. 新チームでの「共通理解の構築」に時間軸を持つ — 堂安が「誰にボールを返せばどう展開するか」という深い連携を求めているように、ケミストリーは試合数をかけて育まれる。指導者は移籍後3〜6カ月の適応期を設定し、数字だけで早期評価・起用変更をしない忍耐力を持つ。
  3. 「総合力のある選手」の強みを引き出すメニューを設計する — 堂安は「ゴールもアシストも守備もできる」と自己定義している。コーチは万能型の選手に対して特定ポジションに固定するより、複数役割をこなせる状況を作り、本人の自信と実績を同時に積ませる。
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“ウイングバック”という新しいミッション――数字には現れない仕事

今季は右ウイングバックや守備的なタスクを担う場面も増え、「これまでよりもゴールへの関与が減っているのでは」と不安視する声も一部ドイツメディアから上がっています。

事実、これまでシュート数やゴール関与が多かった堂安ですが、今季公式戦14試合でシュート25本(平均1.71本/1試合)と、24/25シーズンの平均3.49本から減少。しかし、数字だけが選手の価値を測るものではありません。

堂安自身はフランクフルトのクラブマガジンでこう語ります。

「僕は総合力を持った選手だと思う。ゴールもアシストもできるし、守備もできる。左足からのキックは最大の武器。1人で3-4人抜くタイプじゃないけど、味方とコンビネーションを重ねてペナルティエリア内へ侵入し、シュートまで持っていける。」
("I think I'm a player with all-round ability. I can score, assist, and defend. Left-footed kicks are my best weapon. I'm not the type to dribble past three or four players alone, but I love combining with teammates and breaking into the box through that flow. I don't think my shooting ability is bad.")

FOR PLAYERS & PARENTS / FOR PLAYERS & PARENTS 新しい環境でどう自分を発揮するか
堂安律の適応期から学ぶ「チーム融合」の心構え
  1. 新チームでは「結果」より「関係性」を先に築く — 堂安が「もう少し中でボールを受けたい」と語る背景には、まだチームメートとの信頼関係が発展途上にあることがある。新しいチームに入った時は、まず周囲を観察し、味方の動きや好みを理解することから始める。
  2. 自分の強みを言葉で説明できるようにする — 堂安は「総合力・左足・コンビネーション・ペナルティエリア侵入」と自分の武器を明確に語れる。プレーヤーとして、また親が子どもに対して「自分の良さは何か」を一緒に言語化する機会を設ける。
  3. 数字が落ちても「ファイナルサードの質は上がった」と自己成長を感じる視点を持つ — シュート数が減ってもチームへの貢献が深まることはある。スタッツだけで自分を評価せず、「前より賢くプレーできているか」という質的成長に目を向ける習慣を親子で育てる。

コンビネーションと局面――フィットしていく過程の“今”

数字が物語るもの――それはポジションの変化や役割、そしてクラブ内での関係性が生む“立ち位置の違い”です。

レバークーゼン戦後、堂安は次のように口にしました。

「今日はシュートにいけるタイミングがなかった。両ウイングともシュートを打っていない。ゴールまでの距離がちょっと遠い。もう少し中でボールを受けたいですね。」
("There wasn't a moment to take a shot today. Both wings couldn't shoot. The distance to goal feels a little too far. I wish I could receive the ball a bit more inside.")

まだフランクフルトでは周囲との“お互いを信じ合うパス交換”が局所的で、フライブルク時代終盤のような「誰にボールを返せば、どうプレーが展開されるのか」という共通理解、深いケミストリーの構築途上といえるでしょう。

獅子奮迅の献身、そして“向上心”が拡げる未来

それでも堂安は、自身のフィジカル能力と意志の強さで、何度も上下に走ります。ドルトムント戦などでは“フル稼働”を見せ、延長戦115分には自らのFKからゴール寸前のシーンを演出するなど、数字以上の貢献度を示しています。惜しくもPK戦ではシュートを外したものの、キャプテンのロビン・コッホは

「今日僕らはみんな全てを投げ出して戦った。誰を批判することができるだろうか」("Today, we gave everything on the pitch. Who could be criticized for that?")

と、堂安を含むチーム全体へ称賛の言葉。「自分だけでなく仲間のためにも、どんな困難も乗り越えていく」姿勢は、見ている人々の心に強く残ります。

“観る者すべてに”――君ならどう進むか

堂安の物語には、常に「自分を信じて進む力」と「周囲を動かす共感力」が息づいています。数字や目に見える結果もサッカー選手の魅力ですが、そこに至る過程、そして新天地で「何を発見し、どんな壁を乗り越えるか」というプロセスこそが、深い感動をもたらします。

皆さんは、慣れ親しんだ環境を離れ、まったく違う文化や人間関係のなかで、自分の強みをどう発揮するでしょうか? そして、うまくいかない時に、諦めずに新しい関係や価値を築く勇気を持てるでしょうか?

FAQ / よくある質問
Q. 堂安律はフランクフルトでどのポジションを担当していますか?
A. 主に右ウイングバックとして起用されており、フライブルク時代と比べて守備的なタスクを担う場面が増えています。本人も「もう少し中でボールを受けたい」とコメントしており、攻撃的な持ち味を発揮しづらい役割への適応が現在の課題となっています。
Q. 堂安律のフランクフルトでの成績はどうですか?
A. 公式戦14試合でシュート25本(平均1.71本/試合)を記録しています。フライブルク時代の平均3.49本から減少していますが、本人は「ファイナルサードの質は間違いなく上がった。サッカーが分かってきている」と語り、数字に表れない成熟を実感しています。
Q. 堂安律はどのように自分のプレースタイルを説明していますか?
A. フランクフルトのクラブマガジンで「総合力を持った選手。ゴールもアシストも守備もできる。左足からのキックが最大の武器。1人で3〜4人を抜くタイプではないが、味方とのコンビネーションでペナルティエリアに侵入しシュートまで持っていける」と語っています。
Q. 堂安律がフランクフルト移籍前にプレーしたクラブはどこですか?
A. フランクフルト移籍前はSCフライブルクに在籍し、リーグ全試合出場・10得点という自身初の快挙を達成しました。それ以前はPSVアイントホーフェン(オランダ)、アルミニア・ビーレフェルト(ドイツ)でプレーし、サッカーキャリアの始まりはガンバ大阪ユースです。

新たな景色の“その先へ”――歩みを止めず挑戦し続ける

サッカーに限らず、どんな分野でも「自分らしさ」をどう生かすかは、悩みとチャレンジの連続です。「背番号でサッカーをするわけじゃない。自分の番号にしていけば良いし、良いメンタルしている」(香川真司)という言葉にあるように、堂安もまた、己の道を切り開き続けてきました。

アイントラハト・フランクフルトでの“今”は、まだ成長途上の過程。数多の壁や葛藤が、彼をまた一段上のプレーヤーへと磨いていくことでしょう。

「どんなに小さな成長も重なれば、必ず大きな花が咲く。」――子どもから大人まで、サッカーを愛するすべての人へ。堂安律の歩みに、自分を重ねてみませんか?

最後に、堂安自身が語った進化の言葉で締めくくりたいと思います。

「個人的にはファイナルサードの質は間違いなく上がったと思う。どんどん成熟してきて、サッカーというものが分かってきている。」
("Individually, the quality in the final third has definitely improved. I feel I'm maturing more and more and really coming to understand what football is.")

堂安律の物語は、これからも続きます。そして、その物語は、多くのサッカーファン、すべての挑戦者たちの心を後押しし続けていくことでしょう。

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